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2011年9月1日(木)

  • エココラム

夏休みの自由研究が絶滅危惧種を救う

フジマリモをご存知だろうか?

 マリモと言えば北海道阿寒湖の球形の丸いものを想像するだろう。 マリモが大きな球状の集合体を形成するのは北海道の阿寒湖と青森の小川原湖だけだそうだ。 球状にはならないが糸状ものは、北海道及び本州の東北地方から関西地方の湖沼に点在しているらしい。 フジマリモは、富士五湖の山中湖(山梨県)などに生育し、絶滅危惧種に指定されているマリモの一種で、現在は、球状になることはなく糸状でかろうじて生きているようだ。

 ところが、「フジマリモが球状で生息しているのを東京都内の会社員宅の庭先で発見された。」と言うニュースが流れた。

 なんと、50年以上前に夏休みの自由研究で観察記録をした当時小学生の自宅からだった。フジマリモを育て続けているのは、63才の男性。小学3年だった1956年、湖畔に打ち上げられている緑色の藻を採取。持ち帰って水槽で育て、58年に夏休みの自由研究で「山中湖の研究」として観察記録をまとめた。直径2~3センチの数個のマリモが浮き沈みする様子や、砂粒を巻き込んで丸くなる様子を詳しく記録した。  その後、50年以上、家族で育てていたそうだ。
フジマリモは56年に山中湖で確認、58年に県の天然記念物となり採取できなくなった。その後、観光開発などで生育環境が悪化し、絶滅したと考えられてきた。2007年に湖底の石に付着している藻が再発見されたが、球形のものは見つかっていない。

 小学生の自由研究が絶滅危惧種を守ることに繋がり、誰にでも科学的に大きな役割を果たす可能性があることを教えてくれた。もっと自然への興味を持って欲しいと思う。 できることなら、自然の動植物を採取して自宅で生育するのは止めて、出来るだけ自然のままで観察して欲しいし、自然保護区での採取は絶対止めて欲しい。
(K.S 2011.9.1)