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2012年5月30日(水)

  • エココラム

日本産まれが羽ばたいた

今年も、嬉しいニュースが舞い込んで来た。

 新潟県佐渡島で放鳥された国の特別天然記念物トキから生まれた幼鳥1羽が5月30日早朝、巣がある林から飛び立ったのが確認された。
 国内でトキが自然界で巣立ったのは1974年以来38年ぶり。トキは戦後、生息数が急速に減少し、2003年に国産最後のトキが死んだ。その後、中国から贈られたトキによる人工繁殖に成功し、08年から5回にわたって放鳥され、現在、島内ではトキが40羽以上生息している。抱卵から雛の誕生、そして巣立ちを楽しみにしていた人も多いことだろう。

  トキの話題に隠れて、あまりニュースにならなかったが、兵庫・京都では野外育ちのコウノトリのペアからも雛が誕生。  コウノトリも、明治期以後の乱獲や巣を架ける木の伐採などにより棲息環境が悪化、個体数が減少。1965年に豊岡市で一つがいを捕獲し人工飼育を開始した。しかし、1971年には保護した個体も死亡。このため野生個体は絶滅した。
 その後も、保護した親の卵から人工飼育で育てた個体の繁殖と野性復帰に取組み。2007年に最初の雛が無事に巣立った。コウノトリの野生での巣立ちは1961年以来、実に46年ぶりであった。

  トキやコウノトリの絶滅の原因は、化学農薬の使用や減反政策による水田の減少に伴う餌のドジョウなどの餌の減少、木の伐採などにより巣を架けられなくなるなど、複合的な原因により生活環境が失われためと考えられる。その中には羽毛や食用にするための捕獲も含まれている。
(K.S 2012.5.30)