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2014年11月21日(金)

  • エココラム

山ある記(4)「コノマチョウ」

野鳥の渡りを観察するために佐賀関の関崎を訪ねた。
ここは、豊後水道の豊予海峡を挟んで四国の佐田岬と対する佐賀関半島の先端。この周辺の海域は、関あじ、関さばの好漁場として知られている。また、海(豊後水道)が狭くなっている関係で、渡りをする鳥のコースにもなっている、多い時は何百もの鳥たちが行きかうらしいが、今日は風が強過ぎる。風が強い日は鳥も飛ばない。今日のバードウォッチングは早々と切り上げだ。カメラの三脚をたたんでいる時、鷹の仲間のノスリが岬方面から一直線に飛んできて、上空で向きを変え佐賀関の町方面へ消えた。その後は姿は見せず。

 折角、関崎まで来たのだから佐賀関半島の最高峰(と言っても198mだが)に登ることにした。古遠見(国土地理院二等三角点佐賀関)である。登っている途中でコノマチョウを見つけた。羽の裏側が木の葉そっくりの蝶である。完璧な擬態で、枯れ葉の中でじっとしていると、見つけるのは至難の業。この時は、たまたま潜んでいた近くの枯れ葉を踏みつけたところ、飛び立ったので見つけることができた。飛んでいる姿を追い、何処に止まるか見定め、止まった場所を確認。よほど擬態に自信があるのか、この蝶は一旦止まるとなかなか動かないのだ。いる場所さえわかればじっくりと観察することができる。止まっている時は羽を閉じているので羽の表の模様はわからないが、閉じた羽の形、模様、色は本当に枯葉そっくりである。

 そういえば、「自然のかくし絵」と言う写真絵本がある。(小学生のお子さんをお持ちの親御さんならご存知かも。小学校3・4生の教材として利用されている。)その本ではいろいろな昆虫の擬態が紹介されている。自然の中で敵から身を隠し、生きていくために生まれた擬態の神秘が紹介されている。羽の裏が枯葉のような色で枯れた木の葉そっくりの形をしているコノハチョウの擬態は代表的な例である。今回出会ったコノマチョウも同じタテハチョウ科の仲間である。体の色や形がまわりの環境とよく似ているだけで、私たち人間は昆虫がそこにいるなんて気づきもしない。

 よく考えてみると、擬態する昆虫は突然その形に生まれたわけではあるまい。何億年もの生死を繰り返す中で徐々に環境に似せてきたのだろうか。そう考えると自然はなんと粘り強く、大きな存在であるかを知らされる。そして、そんな自然をいとも簡単に破壊する人間はなんと横暴な生き物かと思わざるを得ない。
 「自然のかくし絵」、機会が有れば、書店などで御一読あれ。 (K.S 2014.11.21)
※写真絵本 自然のかくし絵 昆虫の保護色と擬態 偕成社矢島稔著 ISBN:978-4-03-966110-4

今回の山歩き

  • 場所  大分県大分市佐賀関町
  • コース 佐賀関半島 古遠見
  • 標高  198m
  • ※知らない人は近づかないほうがいい。道は荒れていて途中藪になっている。